生成系AI、PoCのススメ―AI回答の7割以上が有効とヘルプデスク担当者が有効と評価―
GRANDIT株式会社では、中堅/中小企業向けにクラウドERP「GRANDIT miraimil」をサービス提供しています。導入企業の拡大に合わせて増加する「問い合わせ業務」に対応するために、生成系AIによるチャットボットのPoCを実施。その有効性を検証したところ、生成系AIの回答の7割強が有効なものであったとヘルプデスク担当者が評価しました。
今後はヘルプデスク担当者のサポート役や将来的な問い合わせ業務の一次対応をチャットボットに行わせるなど、生成系AI活用を進める予定です。
AIチャットボットによるヘルプデスク担当者サポートのイメージ
以下にAI導入の前後でヘルプデスク担当者の業務がどのように変化したのかをまとめてみました。
特に経験の少ない担当者の場合、自己解決できる範囲が狭く、顧客からの問い合わせに迅速に対応する必要性から、わからない問い合わせは社内有識者などに頼りがちになる傾向があり、結果として有識者に問い合わせが集中、ボトルネックとなり、ヘルプデスク全体の効率が上がらなくなっています。
AI導入後は、問い合わせ内容をAIに確認し、過去の問い合わせ回答や必要なドキュメントを提示してもらうことで、担当者が自己解決できる範囲が拡大し、有識者の業務負荷も低減され、本来の業務やドキュメント改善などに時間をさけるようになるなど、変化が現れています。
業務へのAI活用の勘所
一方で、業務へのAI活用にはいくつか課題があることも事実です。
ここでは、実際のPoCで直面した、AI導入や活用における課題についていくつか説明したいと思います。
- データソース(学習データ)について
AIを利用するためには、必ず学習データが必要ですが、この際にまずは「業務マニュアル」や「FAQ集」などの既存の資料を使用することになると思います。
実際にやってみて感じたのは、このようなデータはオフィス文書やPDFなどの形式で保存されているので、AIが学習可能なフォーマットに変換する方法が必要ということです。簡単にデータを用意したいので既存のものを活用しますが、AIが学習するために変換が必要というのは本末転倒な気がします。近い将来はAI自体がデータの変換やクレンジングなどを行うようになるのではないでしょうか。 - 表や図の取り扱い
上記のような「普段、人間が使うドキュメント」に含まれる図表を現在のAIに学習させるのは少し難しいようです。表や図そのものの読み取りは可能ですが、問題は内容の解釈。
実際のドキュメントでは図にかかれている内容そのものが曖昧なケースも多く、人間は不足している部分を補って読むことができますが、専門的な内容が記載されている場合、AIの学習データにはまだ向いていない印象で、テキストなどデータ化して補う必要があると思います。 - 既知の学習データとの競合
PoC実施時に、投入した学習データには含まれていないのに質問に回答できるケースがいくつかあるのを見つけました。調べてみると既にAIが学習しているナレッジに基づいて回答しているようで一見回答自体も問題はない印象です。このようなケース、一般用語としての回答を作成する場合には問題ないのですが、同じ言葉でも業種や業界的、自社として意味やニュアンスなどが異なる場合は、新たに学習させた内容を優先させるなどの考慮が必要でした。
このような課題は、業種や業務を問わず発生すると思われます。ただし、今後のAIの進化により、すでに解決されている可能性もあるので、自社でAI導入を検討する際の参考にして頂ければ幸いです。