会計監査人(監査法人)が実施する確認状関連の作業に関して

会計・経理
公開日:2022.4.14
更新日:2022.4.14
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前回に引き続き、今回は会計監査人が実施する確認状関連の作業に関して、何を意図して何を実施しているかを、簡単にご紹介したいと思います。

3月決算の会社は、4月初旬~中旬に会計監査人が確認状関連の作業を行います。
(前倒しで実施している会社もあります)
確認状は相手先により数種類ありますが、今回は銀行確認状及び売掛金確認状に絞って、御説明します。
実務の中で、経理の方は会計監査人の意図や実施内容を御理解して頂いている事は多いと感じていました。しかし経理以外の人は、会計監査人とコミュニケーションを取る機会が少なく、なかなか意図が伝わり辛いと感じる事がありました。
会計監査人が実施する確認状関連の作業を理解する事により、効率的な監査対応が可能になります。

確認状の目的

  • 主に期末時点の勘定残高を検証する為に実施する、必須の監査手続です。
    評価(貸倒引当金)等の検証を目的とするものではなく、あくまで実在しているか否か、網羅的に計上されているか否かを検証する手続です。

確認状のポイント(共通)

  • 会計監査人自ら、確認状発送先の選定→発送→回収を行います。
  • 会計監査人自ら、対象となる残高に関して、外部に直接確認を取り、回答を入手します。会社(被監査会社)から提出される書類ではなく、直接入手するという事がポイントです。(確認状発送先からの回答は、会社ではなく、会計監査人の事務所等に直接返送されます)

銀行確認状のポイント

  • 現預金及び借入金の残高等に留まらず、担保設定の有無等、銀行と会社の全ての取引に関して、確認状に記載してもらいます。
  • 口座を開設している全ての銀行に対して、確認状の発送・回収を行います。

売掛金確認状のポイント

  • サンプルベースで抽出した取引先に関して、残高の確認を行います。
  • 基本的に金額的重要性に基づき取引先を抽出します。
    具体的には、残高が大きい(一定の金額を上回る)取引先に関しては、全て発送し、残高が小さい(一定の金額を下回る)取引先に関しては、ランダムで取引先を抽出して発送します。
  • 売上計上及び売掛金回収の内部統制を評価したうえで、2月末残高(場合によっては、それ以前の月)を基準日として発送する事もあります。
    その場合、2月末残高から3月末残高についてロールフォワード手続(3月中の売上計上や、売掛金入金に関して証憑突合等)を実施し、結果的に監査意見の対象となる3月末残高の妥当性を検証します。
  • 確認状を回収した後に、回答残高に差異が生じていた場合(例えば、売掛金残高200、取引先回答残高300の場合)は、差異調整を行う必要があります。
    この例でいえば、差額の100に関して、会社の残高を修正すべきなのか、取引先の回答残高を修正すべきなのかを判断する為に、差異の中身を確認する必要があります。
    結果、会社の残高を修正すべき内容であり、修正すべき金額が、金額的重要性が高い場合。この場合、会計監査人は財務諸表監査の観点から会社に修正を促すと共に、内部統制監査の観点から、会社の内部統制評価への影響を検討する事になります。

(注)会計及び会計監査における根本の概念ですが、金額的重要性が必ず存在します。
投資家等の意思決定を誤らせない範囲での間違いに関しては、監査上の重要な間違いにはなりません。
簡単な例を出すと、税引前利益が100億円でも、101億円でも特に投資家の意思決定に大きな影響はありません。この例で仮にPL項目が1億円間違っていたとしても、監査上重要な問題はないと判断されます。

最後に

売掛金の確認状ですが、期中において取引先と継続的に残高を照合するという内部統制が存在しない場合、期末に会計監査人が実施する確認状で、大きく差異が生じる可能性があります。
この場合、期首に遡って、差異がいつ生じたかを確認する必要がある為、差異の中身の確認に時間がかかる事が多い傾向にあります。
確認状以外の他の監査手続は全て終わっているのに、売掛金確認状の差異調整のみが終わっていないという事は、比較的よくあります。
仮に金額的重要性が高い差異調整が監査報告書日までに終わらない場合、最悪のケースとして、限定付監査意見や、監査意見不表明という事態も考えられます。
毎年確認状対応に時間がかかっている場合、期中の内部統制(計上、回収及び残高照合の内部統制)を見直してみてはいかがでしょうか。

※コラム記載の内容は、あくまで一般的な例の記載、個人的見解になります。
会社の実態により、異なる場合があります。

以上

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