期末監査における会計監査スケジュール及び会計監査の実施内容に関して

会計・経理
公開日:2022.5.12
更新日:2022.5.12
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今回は3月決算会社の代表的な会計監査スケジュール及び会計監査人の実施内容に関して簡単に御説明したいと思います。
様々な決算パターンがある為、一概には言えませんが、代表的なパターンを以下に御紹介します。書面の都合上、財務諸表監査に絞り、内部統制監査は原則ふれていません。

監査スケジュール

3月31日・・棚卸立会
4月 1日・・実査
4月1~2週目・・確認状の発送
4月2~3週目・・個別監査(子会社監査人は子会社の個別財務諸表の監査)
4月3週目~5月1週目・・連結監査
5月1週目・・表示監査(短信、計算書類)
5月2週目・・監査結果説明、決算審査、計算書類に対して監査意見表明
6月1週目・・表示監査(有価証券報告書、以下「有報」)
6月4週目・・有報審査、有報に対して監査意見表明(内部統制監査意見含む)

棚卸立会・確認状

以前のコラムを御確認下さい。記載省略。

個別監査

個別監査は主に以下から構成されます。(親会社監査人及び子会社監査人が実施)

  1. 各勘定の検討
    勘定科目ごとに監査の担当割が組まれる事が多いです。
    判断や見積が入る勘定科目や虚偽表示リスクが高い勘定科目の監査は、主に現場の上席者が担当します。一方、判断や見積要素が入らない勘定科目、虚偽表示リスクが低い勘定科目の監査は、主に現場の若手スタッフが担当します。

連結監査

連結監査は主に以下から構成されます。(親会社監査人が実施)
会社が実施した連結精算表作成プロセスに対して、順番通りに監査を行います。

  1. 子会社に対しての監査手続
    連結の観点から重要性が高い子会社に関しては、親会社監査人が子会社監査人(親会社監査人と同一の場合もあり)に対して監査指示書を送付します。子会社監査人は年度を通じて、親会社監査人の指示通りの手続を実施します。手続が終わり次第、子会社監査人は親会社監査人に対して監査結果の要約を送付します。親会社はその監査結果の要約を評価する事により、連結財務諸表構成単位である子会社の財務諸表の検討を行います。重要性が低い子会社に対しては、分析的手続等を実施します。
  2. 連結精算表検討手続
    単純合算検討、個別補正仕訳検討、連結修正仕訳検討、連結組替仕訳検討等を行います。

表示監査(短信・計算書類)

表示監査は主に以下から構成されます。(親会社監査人が実施)

  1. 表示組替の検討
  2. 注記情報の検討
  3. 表示チェックリストの実施(主に注記情報の網羅性検討)

短信ですが、制度上、会計監査人の監査証明は不要です。
ただ、短信発表後に公表される計算書類や有価証券報告書と短信の内容が異なる場合、短信を訂正する必要が生じます。その為、事前に会計監査人のチェックを受けているのが一般的です。

監査結果説明

監査役の監査意見表明は会計と業務に関して行われます。会計部分に関しては、会計監査人の監査実施内容及び結果を評価する事により、監査役監査の意見表明の基礎を代替します。その為、監査役が意見表明する前に、会計監査人は監査役に対して監査実施内容を説明する必要があります。(何を説明するかについては、基準で明確に定められています)

決算審査、計算書類に対しての監査意見表明

監査意見表明を行う前には、必ず監査法人内の審査を受ける必要があります。
意見表明対象会社の監査チームから独立した審査担当社員が、重要な監査調書等の確認を行い、第三者の視点からチェックを行います。審査担当社員の承認がないと監査意見の表明は行えません。
会計監査は期首段階の監査計画から始まり、監査意見表明にいたるまで、全過程において、審査を受審する必要があります。
例えば、レギュラーな審査としては計画審査、決算予備審査、決算審査、有報審査があり、臨時的な事象が生じたら、個別案件審査、計画修正審査等があります。
当然全て文書化が要求されており、決算審査では作成する書類が膨大になります。

監査スタッフは調書作成に追われます。(こちらも当然全て文書化が要求されています)
一方、監査の現場責任者(上席者)は監査スタッフの調書レビュー、監査結果説明書の作成、審査書類作成に追われます。
監査チームが一丸となって、監査結果説明、決算審査、計算書類に対して監査意見表明に向かって、走り続けます。

表示監査(有報)

監査結果説明、計算書類に対しての意見表明が終わると、有価証券報告書への意見表明を行うまで、少し落ち着きます。
作業内容は、主に既に意見表明を行った計算書類に対しての監査手続から、差分に対しての監査手続になります。(有価証券報告書のみ要求されている注記の検討手続や、追加的な後発事象の検討手続等が挙げられます)また、それまでの調書整理作業を行います。作業量自体は、計算書類に対しての意見表明前と比べて、かなり少なくなります。

有報審査、有報に対しての監査意見表明

決算審査、計算書類に対しての監査意見表明と内容が被る為、記載省略

簡単ですが、期末監査における会計監査スケジュール及び会計監査の実施内容に関して御説明を行いました。
簡単にでも、会計監査人が何をどのようなタイムスケジュールで実施しているかを理解しておくのは、会社サイドとしても効率的な監査対応を実施する上で有用だと思います。

※コラム記載の内容は、あくまで一般的な例の記載、個人的見解になります。
会社の実態により、異なる場合があります。

以上

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